【中国税務】ロイヤリティ支払いと関税の課税強化
昨今、日本の親会社から中国の子会社に原材料を輸出販売する際に、中国の税関から、原材料のCIF価格にロイヤリティも含めて関税を計算・申告すべきであるとの指摘を受けることがあるようです。
もっとも、税関の指摘が合理的でないケースもあるため、どのような場合にロイヤリティを考慮しなければならないかを確認する必要があります。
中国子会社を設立して製品の製造を行う場合、日本の親会社から中国子会社に対して、①技術やノウハウを提供する(技術移転契約を締結する)とともに、②製品を製造するための原材料を輸出販売することが一般的に行われています。
②で原材料を中国子会社に輸出販売する場合には、中国での通関時に、中国子会社が税関に対して関税を納付するとことになります。関税は、課税標準(原材料の販売価格に運賃、保険料等を加えたCIF価格)に関税率を乗じて計算しますので、例えば、CIF価格が100万元で、関税率が5%であれば、100万元×5%=5万元と計算されます。
しかし、①で技術移転契約に基づいて日本の親会社に対しロイヤリティが支払われると、CIF価格に当該ロイヤリティを加えて関税課税標準とすることが求められており、上記例でロイヤルティ料率が4%だとすると、100万元×(1+4%)×5%=5.2万元の関税を納付する必要があります(0.2万元の関税負担増)。
ただし、(a)ロイヤリティと原材料に関係がない場合か、(b)ロイヤリティの支払いが中国国内での販売の条件となっていない場合には、ロイヤリティを関税課税標準に加える必要はないものとされています。また、ロイヤリティと原材料に関係があるか否かについては、日本の親会社が当該特許やノウハウを用いて原材料を製造しているか等により判断することになっています。
上記のようなルールは従前より存在していましたが、近年、「『輸出入貨物通関申告書記入規範』の改正に関する公告(税関総署公告2016年第20号)」、「税関監督管理方式の増設に関する公告(税関総署公告2019年第20号)」及び「特許権使用料納税申告の手続関連問題に関する公告(税関総署公告2019年第58号)」等が発布されたことに伴い、ロイヤリティが支払われている場合の原材料等の輸入に係る関税の徴税強化が行われています。
なお、上記(a)(b)いずれかの要件を満たしているにもかかわらず、税関よりロイヤリティを関税課税標準に含めるよう指摘されるようなケースもあります。例えば、日本の親会社が日本で原材料を調達し、そのまま中国子会社に転売する場合には、当該原材料に日本の親会社の特許やノウハウが含まれることはないため、(a)ロイヤリティと原材料に関係がない場合に該当しますが、それにもかかわらず、税関よりロイヤリティを関税課税標準に含めるよう指摘を受けた事例がありました。
税関の指摘が正しくない(詳細を把握せずに正しい判断を下していない)こともあるため、指摘を鵜呑みにせずに、まずは条文の要件を満たしているかについてご検討頂く必要があります。また、技術移転契約を作成する際にも、記載内容を工夫することにより、ある程度のリスク回避が行えるものと思われますので、事前に専門家に相談されると良いと思います。
金子国際会計合同会社では、中国税務に関するコンサルティング・現地での申告サポート等を提供しております。お電話やWEB会議でお話させて頂くこともできますので、ご質問・ご相談がございましたら、ページの一番下にあるお問い合わせフォームからご連絡ください。
中国ビジネスサポートに関連する事例
中国ビジネスサポートに関連するサービス
CONTACT
お問い合わせ
経営のパートナーとして、最適な解決策を提供します。
お見積もりやご相談などは、お気軽にお問い合わせください