【中国税務】PEシリーズ②:出張で中国に行きコンサルティングを行う場合にPEとみなされるか?
中国での新規事業の立ち上げ等をサポートするために、日本から出張ベースで現地に赴き、コンサルティングを行うケースは多いと思います。その際に、どのようなケースでPE認定されるのか、どのようにすればPE認定を回避できるのかが非常に重要となりますので、ポイントを解説させて頂きます。
1.期間のカウントについて
前回のPEシリーズ①で記載しましたが、コンサルタントの役務提供につきましては、日中租税条約により任意の12ヶ月の間で6ヶ月を超える期間にわたって役務提供が行われる場合に、PEを有するものとされています。しかし、6ヶ月をどのようにカウントするかについては問題もありました。例えば、ある月に1日しか中国に滞在していないにもかかわらず、1ヶ月とカウントされてしまうというルールがあり、短期間の滞在(2泊3日など)を7ヶ月にわたって繰り返すとPE認定されてしまうということが起き得ました。
そこで、中国とシンガポールとの間で締結されている租税条約の解釈に関する通知が発布され、「6ヶ月超」は「183日超」に読み替えられることとなりました。また、類似の租税条約については同様の解釈を行う旨が示されたことから、日中租税条約においても任意の12ヶ月の間で183日超にわたって役務提供を行う場合に、PEを有するものと判断されることとなりました。
また、同通知では、6ヶ月のカウントにあたって、以下の点が明確にされています。
①ある役務提供に関するプロジェクトの担当者が、中国に到着した日から、プロジェクトを完了させて引き渡した日までを中国国内における滞在期間とすること ②あるプロジェクトの担当者が複数名いる場合で、同時に中国に滞在していたとしても、1日とカウントすること(10名で3日間滞在する場合は3日間となり、10×3=30日とはならない) ③あるプロジェクトが複数年にわたって行われる場合、任意の12ヶ月間の中国滞在日数が183日を超えれば、その他の期間で183日を超えないとしても、プロジェクトの全期間にわたってPEを有するものとみなされること |
2.プロジェクトの関連性
中国滞在期間が6ヶ月超となるか否かについてはプロジェクトごとに判断されますが、複数のプロジェクトに分れていたとしても、関連性があれば累積期間で6ヶ月超の判定がなされます(期間が長くなるため、PE認定されるリスクが高まります)。そこで、どのような場合に関連性があると判断されるのかが重要となりますが、以下のようなポイントが挙げられています。
①複数のプロジェクトが1つのマスター契約に含まれているか ②複数のプロジェクトが異なる契約書でカバーされる場合に、契約の締結者が同一の者又は関連者であるか。また、前のプロジェクトの実施が、次のプロジェクトの実施の必要条件となっているか ③複数のプロジェクトの性質が同じであるか ④複数のプロジェクトの担当者が同じか |
3.機械・設備の販売又は賃貸
日中租税条約の議定書によれば、機械・設備を販売又は賃貸し、これに関連して役務提供が行われる場合には、6ヶ月を超えて役務提供を行う場合であってもPEとはみなさない旨が規定されており、コンサルタントの役務提供の例外とされています。
4.まとめ
中国への出張ベースで役務提供を行う場合、現地に事務所等の固定的な施設がなくても、滞在期間によってはPE課税を受ける場合がありますので、スケジュールを検討する際には、十分にご留意頂く必要があります。また、役務提供ごとに契約書を分けて、その内容や期間をそれぞれ明確にしておくこともPE課税回避の観点からは重要となります。
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