2024.07.05 中国ビジネスサポート

【中国法務】外商投資法シリーズ②:外商投資法の内容

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【中国法務】外商投資法シリーズ②:外商投資法の内容

前回のコラムでご説明しておりますが、外国からの出資を受ける中国企業(「外商投資企業」)に適用される基本法として、2020年1月1日から施行されている「外商投資法」という法律があります。外商投資法には、外国からの投資の促進・保護・管理の3つの内容が含まれていますので、今回はその内容についてご説明致します。

1.外国からの投資の促進

近年、中国当局の行政サービスは、窓口の一元化や手続及び申請書類リスト・書式のオンライン上での公開等を通じて、かなり改善されてきています。この流れを受けて、外商投資法も外商投資に関する行政サービスの簡素化・効率化・最適化を謳っています(19条)。ただし、行政サービスの向上の程度についてはなお各地方によってバラつきがあることは否めません。

2.外国からの投資の保護

外国投資者による投資に対する保護政策の一つとして、外国投資者及び外商投資企業の知的財産権を保護する規定を設けています(21~23条)。これに関連して、2019年3月、技術輸出入管理条例及び中外合資経営企業法実施条例が改正され、外資差別の一因となっていた一部の規定が削除されました(「一部の行政法規を改正することに関する国務院の決定」)。

(1)削除された技術輸出入管理条例の規定

外資差別を排除するため、技術輸出入管理条例の中から以下の規定が削除されました。

24条3項  技術輸入契約の受入側(中国企業)が供与側(日本企業)から提供された技術を契約の定めに従って使用し、第三者の権益を侵害した場合、供与側(日本企業)が責任を負う。
27条技術輸入契約の有効期間中の技術改良の成果は改良側(中国企業)に属する。
29条技術輸入契約には、次の制限条項を定めてはならない。

(ⅰ) 受入側(中国企業)に対し技術輸入に不可欠でない付帯条件(必要でない技術、原材料、製品、設備又はサービスの購入を含む)を受け入れるよう要求すること。

(ⅱ)受入側(中国企業)に対し特許権の有効期間が満了し、又は特許権が無効であると宣告された技術のため使用料を支払い、又は関連する義務を引き受けるよう要求すること。

(ⅲ)受入側(中国企業)が供与側(日本企業)の提供した技術を改良するのを制限し、又は受入側(中国企業)が改良した技術を使用するのを制限すること。

(ⅳ)受入側(中国企業)が供与側(日本企業)の提供する技術と類似する技術又はそれと競合する技術をその他の源泉から取得するのを制限すること。

(ⅴ)受入側(中国企業)が原材料、部品、製品又は設備を購入するルート又は源泉を不合理に制限すること。

(ⅵ)受入側(中国企業)の製品の生産数量、品目又は販売価格を不合理に制限すること。

(ⅶ)受入側(中国企業)が輸入される技術を利用して生産する製品の輸出ルートを不合理に制限すること。

ただ、中国の民法典850条及び「技術契約紛争事件を審理する際の法律適用に係る若干の問題に関する最高人民法院の解釈」10条には上記(ⅰ)~(ⅶ)とほぼ同内容の規定があり、これらは廃止されていないことから、技術輸出入管理条例29条の廃止の影響については未だ不透明な状況となっています。

3.外国からの投資の管理

外国投資者による中国への投資を管理する制度は、2016年以降、事前の審査・認可制から事後の届出制に変更されています。そのような流れを受け、外商投資法は、次のような管理体制を定めています。

① ネガティブリスト上の禁止・制限業種以外の投資については、内資外資一致の原則に基づき、参入障壁を設けない(28条)。

② 外国投資者又は外商投資企業の管理は、企業登記システム及び企業信用情報公示システムを通じて、これらから商務主管部門への投資情報の報告を受けることにより行う(34条)。

③ 国は、外商投資安全審査制度を通じて、国家安全に影響をもたらし得る投資に対して安全審査を行う(35条)。

上記②の外商投資情報報告制度については「外商投資法実施条例」38条、「外商投資情報報告弁法」及び「外商投資情報報告の関連事項に関する公告」が、上記③の外商投資安全審査制度については「外商投資安全審査弁法」が、それぞれ詳細を定めています。

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