2024.07.05 中国ビジネスサポート

【中国税務】脱税を行った場合の情報公開

#中国税務
【中国税務】脱税を行った場合の情報公開

昨今、中国では、貧富の格差解消を目指す「共同富裕」というスローガンが掲げられており、富裕層や芸能人などに対する取り締まりを強化しています。例えば、インターネットの生配信で商品を販売するライブコマースなどを行い、フォロアー数9,000万人を誇る女性インフルエンサーに対して、13億4,100万元(約240億円)の追徴課税が行われました。

このような背景の中、重大な脱税等を行った者を処罰し、誠実な納税が促進されるよう、2021年12月31日付で、「重大租税違法信用失墜主体情報公布管理弁法(国家税務総局令 第54号)」が発布され、2022年2月1日付で施行されました。これにより、重大な脱税を行った場合に、情報が世間に公開されるなどの処罰が下されることになります。

1.重大租税違法信用失墜主体とは

同弁法では、「重大租税違法信用失墜主体」を、以下のいずれかに該当する納税者であると定義されています。

①会計帳簿や証憑を偽造・変造・隠蔽・破棄し、過少申告・虚偽申告等を行うことにより、100万元以上の過少申告(無申告)となり、また、過少申告額(無申告額)が納付すべき金額の10%以上であること
②納税を怠った上、財産を譲渡・隠匿して税務当局の追徴を妨げ、未納税金が100万元以上であること
③国家から輸出税還付を不正に受けること
④暴力又は脅迫によって納税を拒むこと
⑤増値税専用発票、その他の輸出税還付や相殺を不正に受けるための発票を虚偽発行すること
⑥100枚以上の又は金額400万元以上の増値税普通発票を虚偽発行すること
⑦発票を私的に印刷・偽造・変造すること、発票偽造防止用品を違法に製造すること、発票管理印を偽造すること
⑧脱税、追徴回避、輸出税還付の不正取得、納税拒否、発票の虚偽発行等の行為について、調査案件の執行完了前において、納税義務を履行せず、かつ、税務機関の管理を逃れ、税務機関が逃走(連絡不能)を確認したとき
⑨納税者、源泉徴収者のために違法に銀行口座、発票、証明書を提供し又はその他の便宜を図り、未納もしくは納付不足額又は不正に受領した輸出税の還付金が100万元以上のとき
⑩税務代理人が税法・行政法規に違反し、納税者の未納又は納税不足額が100万元以上となったとき
⑪その他、悪質、情状が重大で、社会の危険性が比較的大きな租税違法行為

2.公表される情報

税務局が「重大租税違法信用失墜主体」であるとの認定を行う前に、納税者の側から弁明を行う機会も与えられますが、税務局から通知を受け取ってから5日以内に書面又は口頭で弁明を行う必要があるなど、認定を覆すのは難しいのではないかと考えられます。

「重大租税違法信用失墜主体」と認定された場合には、以下のような情報が公開されてしまうことになります。

①信用失墜主体の基本状況
(法人)社名、統一社会信用番号(納税者識別番号)、登記住所、違法行為が発生した時の法定代表者、責任者又人民法院が確定した実質的な責任者の氏名・性別及び身分証番号(生年月日を示す範囲は非表示)
(個人)氏名・性別及び身分証番号(生年月日を示す範囲は非表示)
②信用失墜主体の主要な税収違法事実
③税務処理、税務行政処罰決定及び法律根拠
④信用失墜主体を確定した税務機関
⑤法律、行政法規が公布すべきものと定めるその他の情報

3.公表の方法

各省等の税務局のウェブサイトを通じて、信用失墜主体情報が公表されることになります。また、各地区の実際の状況に基づいて、税務機関の公告欄、新聞、ラジオ、テレビ、ネットワークメディアや記者会見等の方法で公表することもできます。

国家税務総局は、各地の税務機関が確定した信用失墜主体情報を収集し、「信用中国」問う名称のウェブサイトにて公表します。

4.まとめ

重大な租税違法行為があった場合の情報公開に関するルールではあるものの、理屈上は100万元以上の過少申告があると、「重大租税違法信用失墜主体」とみなされてしまう可能性があるため、非常に慎重に申告を行う必要があると考えられます。

金子国際会計合同会社では、中国税務に関するコンサルティング・現地での申告サポート等を提供しております。お電話やWEB会議でお話させて頂くこともできますので、ご質問・ご相談がございましたら、ページの一番下にあるお問い合わせフォームからご連絡ください。

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