2024.07.05 中国ビジネスサポート

【中国税務】PEシリーズ④:中国国内の代理人はPEとみなされるか?

#中国税務
【中国税務】PEシリーズ④:中国国内の代理人はPEとみなされるか?

PEシリーズ①でも軽く触れていますが、中国国内に代理人がいる場合のPE認定について説明したいと思います。日本企業が中国顧客に対して商品を輸出販売するような場合に生じる所得については、日中租税条約第7条で規定される事業所得に該当しますので、中国国内にPEがなければ中国において課税を受けることはありません。単純に輸出販売を行っているのみであれば、通常はPE認定されることはありません。

しかし、中国国内の代理人を通じて輸出販売を行っている場合には、当該代理人が日本企業の中国国内におけるPEであるものと認定される結果、中国において課税を受けることになります。日中租税条約5条6では、一方の締約国内において他方の締約国の企業に代わり、以下のいずれかの活動を行う者を、一方の締約国内の代理人PEとなることが規定されています。

(a) 当該一方の締約国内において、当該企業の名において契約を締結する権限を有し、かつ、この権限を反復して行使すること(ただし、5条4に掲げられている附属的な行動は対象外)。

(b) 当該一方の締約国内において、専ら又は主として当該企業のため又は当該企業及び当該企業を支配し若しくは当該企業に支配されている他の企業のため、反復して注文を取得すること。

例えば、中国企業が日本企業の代わりに、当該企業の名において商品の輸出販売契約を締結する権限を有しており、かつ、反復して行使する場合には、当該中国企業は日本企業の中国国内における代理人PEと認定される結果、輸出販売によって得られる所得に対して中国で課税を受ける可能性があります。

ただし、日中租税条約5条7では、以下のような場合には、代理人PEとはみなされない旨が規定されています。

一方の締約国の企業は、通常の方法で業務を行う仲立人、問屋その他の独立の地位を有する代理人を通じて他方の締約国内で事業活動を行っているという理由のみでは、当該他方の締約国内に「恒久的施設」を有するものとはされない。

仲買人やブローカー等、代理業務を本業としている者を通じて商品を輸出販売する場合もありますが、このような仲買人やブローカー等は特定の企業のみを代理しているわけではなく、複数の企業を代理しており、経済的にも法律的にも独立した立場にあります。このような代理人は「独立代理人」と呼ばれ、代理人PEとはみなされません。

したがって、特定の企業のみを代理し、契約を締結する権限を反復して行使している場合に限り代理人PEとみなされ(「独立代理人」の反対の概念として「従属代理人」と呼ばれます)、中国で課税を受けるリスクが生じることになります。

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